WSI DAILY 2014/10/10


★装備調達計画は続行不可能 シルアノフ財相

ロシアのシルアノフ財相は、現在策定中の2016-2025年までの国家装備計画(GPV-2025)を縮小せざるを得ないとの見通しを示した。

現行の2020年までの国家装備計画(GPV-2020)は10年間で総額20兆ルーブル(約60兆円)を投じるという巨大計画だが、最初の5年間を実行したところで新たな10年計画(つまりGPV-2025)へと改編することになっている。

つまり、GPV-2020の後半が予定通りに支出されるかどうかは、来年まで掛けて各省庁間の綱引きの結果として決定されることになる。

当然、景気減速に加えて西側からの経済制裁で悲鳴を上げている財政金融セクターとしては巨額の装備更新計画を継続するなどもってのほかという態度だが、折角回復基調に載ってきた軍需産業としてはもちろん予算削減など受け入れられる話ではない。

軍需産業をバックに持つロゴジン副首相などは、GPV-2025においても予算規模はGPV-2020と同等に保たれると主張していたが、シルアノフの発言はこれを真っ向から否定するものと言える。

とはいえ、ウクライナ危機を経て軍や軍需産業の発言権が高まっているであろうことは想像に難くない。

クドリン前財務大臣の辞任も過大な軍事支出を巡る見解の相違であったと言われるから、今後、軍事支出が1つの政治的争点となってくることが考えられよう。


「軍事研究」2014年2月号。拙稿にてロシアの軍事予算と今後の見通しについて解説しています。

 

 

★ヘリコプター用エンジンの代替生産状況

VK-2500(Vitaly Kuzmin)
VK-2500(Vitaly Kuzmin)

ロシアがウクライナに依存している軍需産品として特に大きく取り上げられるのがヘリコプター用エンジンである。Mi-26Tのような超大型ヘリとかKa-226のような小型ヘリを除くと、汎用ヘリから攻撃ヘリまで大部分はウクライナのモトール・シーチ社が生産するTV3-117系エンジンを搭載していたのだから、影響は深刻だ。

これに対してロシアは以前から独自のヘリコプター用エンジンの生産に着手してはいた。こうしたこともあって、ロシア政府指導部は「1−2年もあればウクライナの軍需産業に対する依存を脱却できる」と強気であった。

では実際の所はどうか。ロシアの国営エンジンメーカー連合「統一エンジン製造会社(ODK)」によると、今年中にODK傘下のクリモフ(これまで少数ながらヘリ用エンジンを生産してきた)が生産できるのは、前述のTV3-117が161基と、完全国産の出力強化がであるVK-2500が65基であるという。合計226基だが、ほとんどのヘリは双発なので、大体100機分強というところだろうか。

ロシア軍だけでも今年中に100機ほどのヘリを導入する計画であるから、輸出分や民間機、既存機のエンジン交換用なども考えるとまるで足りない。

さらに今後の計画としては、2015年までにVK-2500の生産数を年産120基、2018年までに500基へと引き揚げる計画であるという。さすがに年産500基あればどうにか需要は賄えそうだが、そこまでの増産にはまだあと3-4年は掛かるということだ。

 


「WSI DAILY 2014/10/10」への2件のフィードバック

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です